長持ち住宅


1.骨格をしっかりつくる

軸組フレーム住宅は一般的にはまず、間取り=プランからつくると考えるのが常識とされています。ですから間取りに都合良く構造が計画されるわけです。 こういうかたちでつくってしまうと、将来的な間取りの変更あるいは増築するときに、間取り(主)、構造(従)がとても大きな制約になってしまい希望の間取りに変更を行う際には建物の構造部分に大幅に手を加えなければならない状況が発生する場合が往々にしてあります。

こうならないためには、将来のライフプランによる間取りの変更を実現するために必要かつ発展的な構造フレームをどう構成するかを先に検討するべきなのです。そうすることによって住宅の骨格がシンプルかつ無理のない構成になり標準的構造材の組み合わせで済み、ローコストにもつながります。

精密加工乾燥材

その骨格をつくる柱、梁材はコンピューター制御の自動加工機械で精密に加工され組み立て精度は飛躍的に向上しています。またその製材は含水率20%以下(D20)の乾燥材を使用し建設後の骨格のゆがみや狂いを最小にしています。

床下地合板

近年、体格の欧米化に対応して床下地をつくる合板の厚みは旧来の15ミリを28ミリに厚くし、それを受ける梁についても数ランクアップした断面の部材を使用しています。こうして骨格をしっかりつくることが長持ち住宅の基本になる考えです。

・骨格をしっかりつくるポイント

  1. 間取りと平行して先に構造を考え、シンプルな構成とする
  2. 乾燥材を使用し、精度良く加工して狂いを無くす
  3. 各部の部材断面をランクアップする

2.耐久性のある材料を使う

外装タイル建物で最も過酷な条件にさらされているところは何といっても外壁です。条件が厳しいだけに使用する建築材料の選定には十分留意する必要があります。

ここでのポイントは短いスパンで修理交換するのか?それとも長期にわたって修理、交換が不要である十分に耐久性のある外装材を採用するのか?ということです。 初期費用は高くても10-15年ごとの外部足場を掛けての修理交換に比べると長期で見ればかえってコスト的に有利となります。

耐久性材料について考えるとき、そのもの自体が持っている耐久性もそうですが、その材料が20-30年後に同じく入手可能かということも考えておかなければなりません。 一般的に言って自然素材ベースの材料(木、石、磁器質材等)は耐久性があり100年後にも入手可能な材料といえます。

・耐久性のある材料を使うポイント

  1. 外装材は長期スパンで考え選定する
  2. 20-30年後に同じ性能の材料が手に入るかを考える
  3. 自然素材には耐久性があり、入手が容易

3.呼吸できるようにする

水を通さず水蒸気を通す私たちの設計する住宅の雨に対する防水構造はちょっとユニークです。表から直接見える外壁にはわずかな隙間があって空気が出入りできるようになっています。この外壁の下に二次防水層があってここで水を完全に遮断しています。

なぜこのような二重構造かというと、建物は強風のときもし雨が降っていれば外壁の隙間から雨水を吸い込むのです。ですから外壁で防水構造をつくってしまうと、ここで万一わずかにでも水が吸い込まれたら直接室内側に滲みだしてしまうことになります。ここで二重構造になっていれば外壁の裏までは水が吸い込まれてもこれ以上は入っていきません。あとは外壁の裏側を通って外壁の下部から排出されることになります。

このように住宅では木造であればなおさらそうですが、水とか水蒸気はある程度浸入することを前提に、そして必ず排出されるよう考えてつくります。この呼吸のように隅々まで空気の出入り、流れがなければ木材の寿命は極端に短くなってしまうのです。

・呼吸できるようにするポイント

  1. 雨、水蒸気は壁内に侵入しても必ず排出されるようにする
  2. 木は呼吸できれば長持ちする

4.メンテナンスを簡単にする

外壁メンテナンス内装仕上げ材等は毎日の清掃し易さと、消耗品として考える部分については簡単に交換できるように考えてつくります。

また木材、漆喰、ペンキ等の仕上げ材は表面をサンドペーパーで薄く削ったり、再塗装することによって簡単にリフレッシュ来ます。このような仕上げ材を採用することもメンテナンス負担を少なくすることになります。

設備については配管類はなるべくまとめるようにし、後から容易に点検できるよう計画します。機器類はなるべく常時目に触れるような位置に計画すると不具合の発見が早くなり重症になる前に発見することによって費用負担が少なくなる場合もあります。

・メンテナンスを簡単ににするポイント

  1. 内装仕上げ材は掃除しやすく、交換しやすいものにする
  2. 住まう人が日曜大工的にリフレッシュできる仕上げ材を使用する
  3. 配管、機器類は点検交換が容易となるようにする