実例リフォームプロセス(1)
実例の紹介 (2009)
S様邸は昭和57年に建てられ、築28年が経過した木造二階建て住宅です。
1階床面積 83.16平方メートル、2階床面積は 52.65平方メートルで、延べ床面積 135.81平方メートル、約42坪の広さです。
ご家族はご夫婦と三人のお子様がいらっしゃいますが、現在はお子様お一人だけがご夫妻と同居されています。S様の今回のリフォームに当たってのご要望は
- 1階の間仕切りを取り払ってワンルーム的に使いたい
- 暖かい家にして欲しい
- シックハウス対策を十分にして欲しい
- メンテナンスが容易な機器を採用したい
- オール電化にしたい
- 太陽光発電パネルを採用したい
- 外部にカーポートを二台分設置したい
- 玄関前にはロードヒーティングを
<解体工事から床コンクリート工事まで(蓄熱式電気床暖工事含)>
リフォーム着工前の状況(1)
東南側から撮影。外壁は縦張りの窯業系サイディング仕上げで、外窓はアルミサッシ製品。屋根は寄棟屋根で四方に雨が落ち、冬には駐車していた車にツララが落ちて被害にあったり、玄関前に落ちた雪解け水が凍ったりと、これが大問題でした。 外壁も一部雪の圧力で破損しています。
リフォーム着工前の状況(2)
北西側から撮影。道路側に車庫兼物置が付属しています。 屋根からは四方に落雪しますから車庫物置の上、玄関先、車の上にと雪害にはとても頭を悩ませたそうです。 車庫の中に台所窓があり、台所が暗いのも悩みでした。
外部解体の状況(1)
南西側から撮影。
外壁サイディングをはがしています。
はがし終わった部分には雨が掛かっても良いようにシートで養生しています。
外部解体の状況(2)
北東側から撮影。サイディングと軒裏天井をはがし終えたところです。 外回りの木材はしっかりしていました。ただサイディングの下地が横向きに付いていましたのでサイディング裏側の上下方向の通気は期待できず、室内側からの湿気の放散はうまくいってなかったと思われます。 当時は外壁の通気工法という技術はまだ普及していませんでした。
内部解体の状況(1)
外部の解体と同時進行で内部の解体を進めます。内部の仕上げ材、断熱材を全て取り去ったところです。断熱材は性能の良いものに交換します。 今回はシックハウス対策から床材に合板類を使用しないことにしました。 いろいろと検討の結果、1階の床はコンクリートの床にして、そのコンクリートの蓄熱性を利用した電気式蓄熱床暖房方式を採用することにしました。内部解体の状況(2)
予想通り浴室周りの土台が腐食していました。 当然これは交換です。1階床コンクリートの準備状況(1)
1階の床下空間が低いので埋め戻しをして高くしているところです。次はこの上に砕石を厚きます。1階床コンクリートの準備状況(2)
外気に接するコンクリート基礎の内側はスタイロフォ-ムで縁を切って断熱します。1階床コンクリートの準備状況(3)
砕石の上はスタイロフォ-ムで縁を切って断熱します。その上に鉄筋を組んでコンクリートを流す準備をします。
赤茶っぽく見えている四角いブロックのようなものは蓄熱暖房機に使っている蓄熱用ブロックです。
コンクリートだけよりは若干蓄熱性が向上するようです。 間仕切り壁を一部取ってワンルームのようにという要望なので広々としています。
1階床コンクリートの打設状況(1)
コンクリートをポンプで打っています。厚みは15cmで蓄熱性は非常に大きくなります。コンクリートの高さは土台の高さと同じとすることで気密性、防虫性、土台下からの浸水を防ぐ防水性を持たせます。
1階床コンクリートの打設状況(2)
コンクリート打設は完了して平らに均しているところです。 この面が仕上がりになるのではなく、この上に電熱線を敷く下地として使用します。 仕上がり面はもっと高くなります。1階床蓄熱暖房の状況(1)
コンクリートでつくった床の上に電熱線を細かく敷き詰めたところです。系統ごとにコントローラーが付いて部屋別に温度の制御が可能です。 この電熱線が安価な深夜電力を使用して上下のコンクリート層に蓄熱し、昼間に放熱することによって低温輻射暖房効果を得ます。1階床蓄熱暖房の状況(2)
電熱線を細かく敷き詰めたところの拡大です。 クロゼット、キッチン、冷蔵庫の下など、機器が固定的に置かれる生活空間以外の部分には敷設しません。1階床蓄熱暖房の状況(3)
電線を保護するための二層目のコンクリートをポンプで打っています。厚みは5cmで蓄熱層の総厚は約20cmとかなり厚くなります。 コンクリートの高さは土台より高くなるので気密性、防虫性、防水性は完璧です。このコンクリート仕上げ面の上に仕上げ材を張ることになります。まるで新築リフォームについて考えるとき
- 建築ブームの時代の住宅が寿命を迎えている
- 当時の断熱は不十分で、気密については全く考えられていなかった
- 最近まではスクラップ&ビルトでの建て替えが進んでいた
- 最近のトレンドは「もったいない」、「廃棄物減少」へとシフト
- 建物基礎を調査し再利用、既存骨組みを新しい間取りに組み直し補強して再利用
- 基礎と骨組以外を新品材料にし高断熱・高気密化するとまるで新築住宅に